漫画もグラビアページも
コンセプトづくりが大事。
漫画編集とグラビアを並行して担当
「ヤングチャンピオン」や「マンガクロス」で連載している歴史漫画の『信長を殺した男』、サッカー漫画の『Mr.CB』、田中角栄を主役にした『角栄に花束を』、渋沢栄一の『日本を創った男』、吉田松陰の『松かげに憩う』、ホラー漫画の『シリアルキラーランド』、映画のコミカライズである『狐狼の血 LEVEL2』、ミステリー漫画の『私刑執行人』といった作品を担当していますが、ほかにも雑誌のグラビアや紙の写真集、デジタル写真集の編集も担当しています。青年誌はグラビアによって雑誌の売上が大きく左右されます。入社当時の編集長がグラビアで結果を出されていて、その方の影響もあって手を挙げました。業務が多岐にわたるため進行管理と報告には気をつけていますが…、周囲の方々にいつもフォローしてもらっており、本当に感謝しています。漫画編集のお仕事では、読者視点を持ちながら「作家さんの想い」が読者に届いているかを意識しています。以前、『Mr.CB』の綱本将也先生に漫画編集者としてどうあるべきかを厳しくも優しく教えていただきまして、その教えは今でも業務に活かすよう心がけています。
歴史上の人物が取り上げられると作品も注目される
このお仕事の魅力は、思い立ったらすぐに実現できて、会いたい人にも会えることです。サッカーが好きなこともあって、引退された元日本代表選手の中澤佑二さんにお話を伺ってみたいと思い、連絡したところインタビューが実現。『Mr.CB』の単行本の推薦文を書いてくださるなど作品につなげることもできました。ほかにも敬愛する小説家さんや芸人さん、政治家さんに取材したり、秋田書店と接点がなかった漫画家さんなど魅力的な方々と出会うことができます。漫画のお仕事でうれしかったのは、担当している歴史漫画の主人公が大河ドラマに選ばれた時でした。『信長を殺した男』は明智光秀が主人公でしたが、当時、福知山市が「明智光秀を大河ドラマに推薦しよう」というイベントを東京駅で開催していたので作家さんと一緒に署名活動に参加したところ、その後主役になることが決定されました。相乗効果で漫画もより注目を浴びるだろうと期待していましたが、販売部の積極的な働きかけのおかげで書店に大河ドラマコーナーが設置され、単行本の売上も大きく伸びました。
その人の魅力をどのように読者に届けるか
グラビアでは、タレントさんの持っている魅力をどのように読者に見せるかなどコンセプトづくりを大事にしています。例えば、以前企画した「東京シンデレラストーリー」では、まず地方から上京したばかりの女の子という設定を決めて街中で撮影し、だんだんと大人になっていく様子を豪華なホテルで撮影、最後はシンデレラのような幻想的なシーンで締めるというもの。このようなコンセプトやストーリーをタレントさんや事務所の方、カメラマンさんと相談しながら進めます。青年誌なのでどうしても肌の露出を求められることもありますが、心に響く印象的なシーンがあれば読者にもタレントさんの魅力が届きますし、タレントさん自身にとっても知名度やお仕事の幅を増やすきっかけになります。そのような点では、漫画もグラビアも読者視点を常に持ちながらコンセプトをつくるプロセスは同じだと思っています。ただ、撮影当日はロケバスから機材を運んだり、ロケ弁当を配ったりと現場での作業は編集者というよりはテレビのADさんのようです(笑)。
世の中の多様化に合わせて様々なことに挑戦したい
2018年にヤングチャンピオン創刊30周年に合わせて、大磯ロングビーチでアイドルのフェスとグラビアアイドルの撮影会を急きょ開催することになりました。通常なら準備に1年はかかるところ、わずか3か月しかないため準備に追われましたが、アイドルグループ68組、グラビアアイドル56名という大規模なイベントになりました。ところが、当日にバスが遅れるとか、アイドルの立ち位置や並びの問題など現場は本当にキツく勉強になりました。イベント会社さんとは違い、僕らはただの雑誌編集なのであまりにも不慣れでした。ただ、「世の中のイベントはこういうふうにつくられているのか」と経験させてもらいましたね。今後は、Webtoonなどの縦読み漫画など多様化するさまざまな読まれ方にも挑戦し、人間の変わらない「根幹の部分」をつくようなテーマの作品に携わっていきたいと考えています。また、グラビア写真集の積み上げもできてきましたので、これまでの経験を活かした男性タレントの写真集など新たな戦略も考えていきたいです。
私の仕事道具
iPadとタッチペン
作家さんからいただいたネームや原稿、単行本やグラビア記事のデザインなどがアップされたらiPadで確認し、ペンタッチでそれぞれに赤字を入れて編集部に戻します。いろいろ試しましたが、これが一番やりやすくて効率的。自宅にいても、ロケバスなどでの移動時間中でも作業ができるので、とても便利です。