企画やアイデアを
文章にして伝える。
コラム執筆で見つけた
自分のスタイル。

編集者の斜め上をゆく、
みずた先生の漫画にかける姿勢
ヤングチャンピオン編集部で4雑誌12作品に関わっています。担当する作品の一つが、私が漫画編集者になりたいと考えるきっかけになったみずたまこと先生の『OUT』です。入社1年目にサブ担当として就かせていただきましたが、キャラクターを目立たせるための画面構成や立居姿へのこだわりなど先生の漫画にかける情熱は凄まじく、まさに命を削りながら漫画を描かれています。さらにヤンチャン本誌では『OUT』を隔週で連載、別冊の『バウンサー』も月一本の連載がありますので、私が担当している先生の中では原稿を上げる回数も打ち合わせ回数もダントツです。みずた先生とは6年以上のお付き合いがありますが、悲しいことに私のアイデアが採用されたのは数えるくらいしかありません(笑)。先生は打ち合わせ中もお酒を飲んでいる時も、会話で出たアイデアについてうなずきながらメモを頻繁に取ってらっしゃいますが、実際にネームが上がってくるとストーリーがまるで違います。常に漫画編集者が想像する斜め上を行かれるんですね。「絶対に読者を驚かせるんだ」という先生のプロ意識をいつも感じています。

いろんな先生と出会えるのも
この仕事の魅力
普通に生きていたら関わることのできないような方々とお話しする機会があるのも漫画編集者の仕事ならでは。『チカーノKEI』の原作者であるKEI先生は、元アウトローの方ですが自分とは経験値が違いすぎて引き出しも多く、世の中に出せないこともたくさん教えてくださいます。『スカベンジャーズアナザースカイ』の古部亮先生はガンマニアで、休日は私の趣味でもあるサバゲーによく一緒に行っています。ファンの方も参加できる公式のサバゲーイベントを開催させていただきまして、そのレポート記事がヤンチャンWebに掲載していますのでぜひご覧ください。この作品は立ち上げから関わらせていただいていまして、コミックが重版出来したことで先生から感謝の言葉をいただいた時はとても嬉しかったですね。『青の島とねこ一匹』の小林俊彦先生はメジャーリーグなどの野球と映画がとてもお好きで、よく一緒にキャッチボールしながら打ち合わせしています。いろんなタイプの先生がいますので、それぞれの先生と柔軟に向き合いながらお付き合いすることを心がけています。

隠れた才能を発見した
別冊のコラム
ヤンチャン編集部は喋るのが好きな人が多くて、編集長はじめアドリブで面白いことが言える人ばかり。そんな中で自分はほとんど喋らず黙々と作業していることから、付いたあだ名が「サイレントマッスル」です。急に会話を振られても即座に気の利いたことが言える人間ではないので、その分、しっかり準備してから打ち合わせやイベントに臨むようにしています。そのきっかけになったのが別冊ヤングチャンピオンのコラムページを任されたことでした。蕎麦屋に通う編集の先輩方をいじり倒すコラムでしたが、自分は即興で言葉を紡ぐタイプではないため1か月かけて頭の中で準備していたアイデアを文章にしたところ、意外にも読者からの反響もあって2年半ほど続きました。その後、「文才があるんだから新聞のコラムに応募したらどうか」と別冊の編集長に勧められて書いたんですが、こちらも実際に採用されました。ヤンチャンのコラムページで鍛えられたということもありますが、それ以来、「しっかり準備して文章で伝えることが自分のストロングポイントなんだ」と実感しています。

自分の強みを活かして
最前線で面白いものを作り続けたい
今は、先生との打ち合わせには自分の考えたアイデアを1枚のペーパーに書いて持ち寄るようにしています。以前は会話を通じてアイデアを伝えても、なかなかハマらなくて打ち合わせが長引くこともしょっ中でしたが、文章という形でお渡しすると、「これいいね」とおっしゃっていただくことが増えた気がします。あと、編集者はフィジカルも大切なので筋トレや皇居ラン、サッカーなどで体を鍛えるようにしています。このような自分の強みを活かしながら、これからもより多くの漫画家さんや作品に携わって最前線で面白いものを作り続けていきたいです。もちろんヤンチャン編集部に配属されていますのでアウトロー的な作品をやりたいという気持ちは強いものの、ほかのジャンルにも力を入れていきたいと思っています。『スカベンジャーズアナザースカイ』の古部先生ともよく話しをさせていただいていますが、毎月サバゲーイベントのゲストにほかの漫画家さんをお呼びしてサバゲーファンを増やし、先生方に描いてもらったミリタリー作品だけを集めた雑誌をつくってみたらどうかなんて構想もしています。いろんなことをやらせてもらえるのも秋田書店の魅力ですね。
私の仕事道具
マッサージガン
漫画編集者はデスクワークが中心なのでずっと座っていると腰や大臀筋が張ってきます。趣味のサッカーにも支障が出てしまうことから、漫画家さんにオススメいただいたマッサージガンを購入しました。自分だけではなくみんなにも使ってもらえるようにいつも机の上に置いていますが、特に頻繁に使っていただいているのがヤンチャンの編集長です。ただ、使い終わっても電源はオンにしたまま。自分が外出していると翌朝には充電がなくなるので、「充電してないじゃないか!」と編集長がよく怒っています(笑)
