一人でも多くの人に
漫画を届ける。
「売る」という側面から
漫画に関わる仕事
秋田書店は漫画を専門とする出版社なので、何かしらの形で必ず漫画に関わることができます。編集者であれば漫画を「つくる」という過程に密に関わりますし、宣伝部であればイベントなど作品を「広める」ための企画を考えたりします。そのなかで販売部というのは、「売る」ための手助けを行う部署です。具体的には、新刊の発売に合わせて書店で飾ってもらうポスターなどの拡材を作成したり、あるいは書店を訪問し、どんな拡材があると当社の作品を売りやすくなるかヒアリングしたりします。私はまだ1年目なので一人で書店を訪問した経験は少ないですが、ゆくゆくは全国の書店をまわる予定です。つい最近までは先輩に同行しながら、書店員さんとのコミュニケーションのとり方などを見て学んでいました。これから一人で書店をまわっていくことを想像すると、緊張すると同時に、とてもわくわくしています。
書店員とのコミュニケーションが
何より大事
販売部の仕事は、社外の方と関わることが非常に多い業務です。先輩からの教えは「好かれなくてもいいから、嫌われないように」。人間同士なので相性もありますから、すべての人から愛されることは難しい。でも、礼儀正しくする、連絡はこまめに行うなど社会人としてのマナーを守っていれば嫌われることはありません。もし自分が嫌われてしまうと、書店員さんの「秋田書店の漫画が売れるように頑張ろう」というモチベーションが下がってしまうこともあり得ます。だから、嫌われない、ということはとても重要です。先輩の教えは、シンプルながらも深い意味をもった言葉だなと思います。また、嫌われない、の一歩先を目指すとするなら、自分と関わった人が少しでもハッピーになるような行動をとりたい。たとえば、新刊発売の際にプレゼントするシールやクリアファイルといったノベルティを企画するのも販売部の仕事ですが、限定品を入手できてきっと読者も嬉しいはずだし、ノベルティがあることで本が売れれば書店や漫画家さんも喜んでくれるかもしれない。そんな循環を生み出していきたいですね。
小さな成功体験を積み重ねていく
「やりたい!」という気持ちを尊重してくれるのが秋田書店のいいところです。私もすでに、いくつものことに挑戦してきました。例えば、注文書の作成はその一つ。出版社から書店に向けてメディア化や話題書など、注目度があがっている本の発注をお願いするときに注文書を作成します。冊数や書店名など必要事項を記入できるフォーマットになっていれば注文書としては十分なのですが、プラスアルファとして、書店員さんの目を引く仕掛けをつくることが意外に重要です。なぜなら、他社も同様の注文書を書店に送っているので、自社の注文書が書類の山のなかに埋もれてしまう可能性もあるからです。そのための一つの工夫として漫画のイラストを注文書にプリントする、という手法があります。どのイラストを、どれくらいの大きさで、注文書のどの位置にレイアウトするかなど、考え出したらキリがない作業でもあります。そのぶん、自分が作った注文書で本の注文が入ったときの喜びもひとしおです。
日々、勉強
学生時代から小説が好きだったので、書店巡りは趣味のようなものでした。ネットで本を注文することも増えている時代ですが、書店を歩きながら思いがけない本を発掘するような楽しさを、自分はこれからも大切にしていきたいと思っています。秋田書店に入社して販売部の仕事をするようになって変わったことは、書店の歩き方。以前は真っ先に文芸コーナーに向かっていましたが、今はコミックの棚をついつい先に見てしまいます。自社、他社含めてどんな作品が売れているのかをリサーチしたり、書店員さんがどんな棚づくりをしているのか参考にしたりします。とはいえ、休日も仕事のことで頭がいっぱい、というわけではありません。秋田書店はとてもアットホームな環境で、仕事に必要な緊張感を保ちつつも、とてもリラックスした状態で働けています。仕事って不思議なもので、のびのびした状態で働けていると自然と興味や関心が湧いたり、意欲が出てきたりします。だから、休日の書店巡りも、趣味の延長のような気持ちで楽しみながらやっています。
私の仕事道具
折り畳み傘
雨に濡れた状態で書店を訪問すると失礼にあたるので、晴れの日でも必ず折り畳み傘を持ち歩いています。傘のメーカーや素材、色に特にこだわりはありませんが、身長180cmの自分の体型でもしっかりカバーできる大きなものを選びました。