大好きだった漫画の
担当編集者に
なれたことの幸せ。
1年目で人気作品
「弱虫ペダル」の担当に
子どもの頃から漫画が好きで、渡辺航先生の「弱虫ペダル」は夢中になって読んでいた作品の一つでした。運良くこの作品を担当させてもらえることになり、本当に嬉しかったです。初めて渡辺先生にご挨拶したのは、1年目の秋ごろ。先輩と一緒に数人体制で担当しており、2年目になった今も先輩にいろいろなことを教わりながら日々の業務に取り組んでいます。主な内容は打ち合わせや原稿受領ですが、渡辺先生が取材として各地の自転車イベントに向かう際に帯同することもあります。昨夏は世界最大級のロードレース「ツール・ド・フランス」の取材のためにフランスにも行きました! また、イベント帯同中に「弱虫ペダル」のファンの方とお会いできることも楽しみの一つ。「作品を読んで自転車に乗り始めました」「キャラクターに元気をもらえました」などのお声をいただくと、自分が携われている作品の影響の大きさを感じます。
作品を読み込み、打ち合わせをする
「弱虫ペダル」の打ち合わせでは、渡辺先生が描いてくださったネームをしっかりと読み込み、なるべく丁寧に感想をお伝えします。自分の感想を的確な言葉で表すのは非常に難しい作業ではあるのですが、その言葉に先生も納得してくださって、修正ネームを自分の想像をはるかに上回る面白さで頂けたときの喜びは、何物にも代え難いものです。たとえば、先日はある登場人物の行動に対して、私が「長くこの作品を愛してきた読者の一人として、何か救いがある展開が見たいです」とお伝えしたところ、先生も「それもいいかもね」と言って修正ネームに反映してくださったことがありました。まだまだできないことがたくさんありますし、仕事を覚えるうえで苦しいことやうまくいかないことも多々あります。それでも、自分が心の底から面白いと思う作品に携われる喜びが仕事の原動力になっています。そして、携わった作品が多くの人に届いているという実感が、「もっともっと仕事を頑張って、いい作品を世に送り出していこう」という前向きな気持ちにさせてくれます。
新企画の発掘も重要な仕事!
新企画もどんどん進めています。ウェブサイトの「持ち込み窓口」に投稿された作品のなかから面白い漫画を探すこともありますし、あるいは漫画家の先生に自分から相談して新企画の準備を進めることもあります。初めて自分が手がけた新企画が「週刊少年チャンピオン」に掲載されたのは、1年目の冬でした。夏ごろにウェブサイトの投稿作品のなかから見つけ、「これは!」と思った作品でした。通常、新企画は数カ月かけてネームのブラッシュアップを続けながら、掲載のタイミングを見計らいます。あるとき、急きょチャンスが訪れて、遂に私が進めていた新企画が載ることに。掲載された喜びや興奮を漫画家の先生と一緒に分かち合ったことは、今でも忘れられません。私にとっては、自分が惚れ込んだ作品が現実に読者に届いたということが嬉しくて、仕事を続けていく自信につながった出来事でもありました。この成功体験が、「よし、また新企画を練ろう!」と次につながって、今に至っている気がします。
失敗を恐れず、果敢に挑戦できる環境
秋田書店は、若手の挑戦を応援してくれる文化があります。編集者にとっても漫画家さんにとっても自由度が比較的高いことが、大きな魅力です。「これはウチのカラーに合わない」という理由だけで作品を突っぱねることもありません。だからこそ新企画に挑戦する甲斐があるし、モチベーションも上がります。先輩方がよく口にしているのは、「失敗しても構わないから、どんどん挑戦しなさい」という言葉。成果を出している人ほど失敗もたくさんしている、というのが秋田書店の考え方です。裏を返せば、失敗なくして成功はない、ということ。私個人の感想ですが、「漫画編集者」という仕事は学生時代に思い描いていたほどキラキラしていないというか、地味な黒子の作業がメインではあります。それでも、仕事を通じて得られる達成感や充実感、幸福感はとても大きくもあります。
私の仕事道具
原稿ケース
今はデジタルで作画する先生が多いのですが、担当している「弱虫ペダル」は、アナログ原稿なので渡辺航先生の事務所まで直接原稿を受け取りにいきます。その際の持ち運びに欠かせないのが「原稿ケース」。移動中の紛失防止のために、ベルト付きのタイプを買いました。厚くて幅が広めのベルトなので肩に食い込みにくく、使いやすくて気に入っています。