漫画を応援してくれるファンの方々に
より楽しんでもらえるように。
漫画作品の映像化や商品化における
許諾窓口と契約交渉
秋田書店が管理する漫画作品のアニメやドラマといった映像化や、キャラクターを利用したグッズの商品化など、出版物以外に利用する際の権利の許諾窓口がライツ企画課です。例えば、「漫画を映像化したい」と映画会社、テレビ局、制作会社などから持ち込まれた企画について、私たちが窓口となって条件面やスケジュールなどを精査したうえで編集部や作家さん方に確認し、版権使用料などの条件交渉も行います。また、編集部から「コミックスの発売に合わせグッズをつくりたい」と相談があった場合は、私たちからお取引先様にグッズ製作・販売の依頼をすることもあります。複数の企業が出資する製作委員会方式で映像化される場合には、秋田書店として出資するかどうかも、まずライツ企画課で検討して役員等に提案します。ほかにも、契約締結作業はもちろん、上記によって生じた版権使用料や出資配分金等の入出金管理業務も行っています。
それぞれの漫画作品に寄り添った企画を
進めるために
商品化や映像化にかかわらず、毎回新しい企画に取り組むときは自分自身の気持ちを一度リセットして取り組むようにしています。漫画作品の二次的展開(商品化、舞台化、アニメ化、実写化等)は、現在ライツ企画課の3人で担当していますが、秋田書店で出版しているすべての漫画作品が対象となるため、何作品もの商品化や映像化の話が同時並行で進みます。少女漫画のグッズの打ち合わせをした直後に青年漫画の映像化の打ち合わせをする場合も多く、ターゲットとなる読者層も異なることから、毎回その作品に寄り添った企画内容や条件を検討するよう心がけています。また、海外のパートナーと仕事をする際は、特に慎重に検討しています。ビジネスにおいても日本と文化が違うため、一つずつお互いの懸念点を払拭して企画を進めますが、簡単には理解し合えない部分もあり時間も非常にかかります。ただ、そのような経験から緻密な話し合いやコミュニケーションの取り方などを学べるので、国内の企業を相手とする際にも活かせています。
作家さんもファンも会社も納得できる交渉を
漫画作品の二次的展開の交渉については法律の知識がとても重要です。関係者の皆さんが納得できるような企画・条件にしようと法律関係などの本を読んで日々勉強していますが、実際の現場では本の通りにならないこともあり、非常に頭を悩ませます。ただ、それもこの仕事の面白いところです。ご自身がつくられた漫画作品がアニメやドラマ化されたり、グッズが販売されたりして、作家さんの喜ばれている姿を拝見するたびに、「交渉が成立して良かった」といつも感じています。もちろん、グッズ、アニメ、ドラマ、映画といったカタチで世の中に作品が出ることで漫画のファンの方々にも喜んでもらえますし、これがきっかけとなって書店でのコミックスを置いてもらうスペースが増えるなど、新たなファンを開拓することにもつながります。また、商品化されたグッズの売上報告を、その作品に関する人気のバロメーターの一つとして活用することができるのも、この仕事ならではの魅力ですね。
メディアミックスを視野に入れた映像化に挑戦したい
アニメやドラマなどの映像化や、企業とタイアップした商品化の話などは年々増えています。ほとんどが連載中の作品や過去作品について、取引先の方から商品化や映像化のご相談をいただく場合や、逆にこちらからお願いさせていただくことが中心ですが、いつか、最初の企画立ち上げの段階から自分も関わりながら、アニメ化や商品化といったメディアミックス展開を視野に入れた作品づくりに携わるのが目標です。そのためにも、話題のアニメを観ることは欠かせません。アニメそのものも楽しんでいますが、携わっている企画会社、制作会社、監督などもチェックして、作品を映像化する際の参考にしています。また、グッズについても日々何が売れているのか、マーケットを探ったりもしています。秋田書店は個人の裁量も大きく、失敗をおそれずになんでもチャレンジできる環境があります。もちろん、その分の責任も大きくなりますので、今後も自分の知識や経験、実績を積み上げていくことを大切にしていきたいですね。
私の仕事道具
ビジネス法務のガイドブックと電卓
私は、ビジネス著作権検定上級、ビジネス著作権検定2級、知的財産管理技能検定2級等を取得していますが、知識があるのとないのとでは交渉にも影響します。条件が妥当かどうか、契約内容に不備がないかどうか、版権使用料の計算が間違っていないかどうか等を確認するために、常にビジネス法務に関するガイドブックと電卓は欠かせません。