14106ぜ、千石!!

2025年1月1日、秋田書店は文京区本駒込(千石)の仮社屋に引っ越してきました。23階の窓から飯田橋のほうを眺めると、白い半球の東京ドームが見えます(写真中央ね)。この裏手で建て替え工事中の旧社屋までは直線でたった3キロほど。でも距離の近さに反して、街の空気も人の流れもガラッと違っていて、「あ、本当に別の街に来たんだな」と思わされる景色です。

社内は今日も、静かな顔とにぎやかな顔が交互に出てくる感じです。引っ越したばかりの新しい景色の中でも、ここだけは変わらないなって思います。

仮住まいは約3年(たぶん)。期限つきの拠点ですが、千石の街は思った以上にあたたかい。特に飲み屋さんがグーなんです。仕事帰りにふらっと寄ると「お疲れ!」と迎えてくれて、いつのまにか顔を覚えてもらっています。飯田橋しか知らなかった身としては、新しい居場所が増えたみたいでちょっと嬉しい。

この付き合いが“締め切りつき”というのも、なんだかいいんですよね。みなさん、3年後には私たちがいなくなることを知っているから、今夜の一杯が互いに大事だし、話も素直になります。漫画づくりも、期限があるからその時その時を出し切れる――なんて、たまに真面目なことも思ったりします。

……とはいえ店で話しているのは、だいたいオジン味の雑談です。『それ、昭和で言うと“ナウい”の?』とか『“押忍押忍!!”で全部乗り切ろうとするの、逆にシャバいよな!』とか、古い単語で遊んでます。そして横から平成初期の恋バナが聞こえてくる。送れなかったベル番14106(わかる?)の話から、“あの時告白してたら俺の人生変わってたかも〜”って言った瞬間に『無い無い』。『はい、だめだこりゃ!』みたいな夜です。

そんな適当な夜を重ねるうちに、千石が少しずつ“うちの街”になってきたような気がします。3年限定の寄り道(たぶん)ですが、悪くない日常です、押忍。

U.T. 1999年 週刊少年チャンピオン配属
2018年 ヤングチャンピオン編集長
2025年 編集局次長
1年先に社会人になった地元の友人が他誌の漫画編集者となり、楽しく仕事している姿に感化されて自身も漫画編集者を志す。スーツではなく私服で仕事できることにも魅力を感じたという。当時、「グラップラー刃牙」の大ファンだったことから秋田書店に入社。