綺麗なビルで待ってます!!
某総合出版社から転職し、気づけばもう秋田書店で勤続約17年目。
限界を迎えた旧社屋取り壊しのため、今年の1月から仮社屋へと移転して働くことになりました。
私が入社した当時ですらまだ分煙が始まっておらず、
編集部やロビーにたちこめていたタバコの煙が、何十年とかけてしみ込んだクリーム色の内壁は、
いつも社内にどんよりと籠ったような空気を醸し出し、冷暖房の温度調節を巡り社員同士で醜い争いも頻発していました。
某世田谷の家族アニメでしか見ないネズミ色の古めかしい事務机。
校了のたびに酷使され、補修しても毎日どこかが欠けていく階段タイルの謎に、突然開いては閉まらなくなる魔法の防火扉。
そして昭和の香りが残るタイル張りのトイレは冬になると殺意ある寒さを感じさせ、
「秋田書店のトイレ、ウォシュレットすらねぇ」と毎年就活生からネタにされるのは風物詩でもありました。
――それが、なんということでしょう――
どんよりした空気の中で、フロアの違う各編集部の交流がまばらだったオフィスは、
まるでテレビドラマのようにピカピカで明るくなり、編集部すべてが1フロアに収まる広々とした空間に。
これなら関わりの薄かった他部署の人たちとも、いつだって簡単に交流がもてそうです。
狭く荷物があふれかえっていた下々の机も、みんな憧れの編集長と同じ両袖付きになりました。
収納力がアップし、スッキリした机は、PCの配線も通しやすくコードが邪魔になることもありません。
もうスペースの必要な版下作業だって楽々です。
ガラス張りで寒く、ボロボロだった階段は絨毯つきの内階段に。
でもそんなものを使わなくたって23階までのエレベーターは巨大な8基が配備され、いつだってスイスイ。
8階建てだった旧ビルの頃よりもエレベーター待ちが苦になりません。
そして社員ですら大嫌いだったトイレは、なんと空調もつき、冬でも震えながら用を足すこともなくなりました。
男子トイレに1つしかなかった個室も大幅に増え、たとえ1つが使用中でも、
他のフロアを巡回して空室を探す旅に出る必要はもうありません。
劇的に変化した秋田書店。
数年後にはさらに綺麗な新居になる予定です。
もう窮屈な思いはありません。来るならイマです。

安坂 嘉訓
2008年1月入社。
チャンピオンRED、週刊少年チャンピオンを経て
2023年7月より、プリンセス・ボニータ編集部へ。
東京生まれ大阪育ち。プリンセス・ボニータ編集部配属当初は、「乙女心が足りないのではないか」と編集部員や、先生方から苦言を呈されていた私も2年の時を経て、「白花繚乱」や「聖闘士真理矢」などの立ち上げにより無事、乙女心を手に入れることができました…!!