2年前の就活の話。


少し生々しい話をしようと思う。
2年前の、就活の話だ。

もしも暗い話が苦手なのであれば、このコラムは読まずに、ぜひ他の社員のコラムを読んでみてほしい。
きっと元気になれるはずだから。

でも、もしも、
今の辛い気持ちを分かち合いたいということであれば、このコラムを読んでみてほしい。


2年前の今頃。
絶賛就活中の私は、エントリーを考えている企業(あるいはすでに選考落ちした企業)からのメッセージや就活生へのエールを、電車の中などで度々読んでいた。

それらのメッセージやエールは、就活に苦戦していた私にとって大きな励みになっていた。
しかし時々、虚しささえ感じることもあった。
「紆余曲折があったり苦労もたくさんしたとはいえ、これを書いてくれている人は皆、入社できてるんだもんな…」と、心のどこかで思ってしまう節があったからだ。

かくいう私も、運良く漫画の編集者になるという夢を叶えることができた一人だ。
でも2年前の今頃は持ち駒が一つもないまま2週間以上を呆然と過ごしていたし、街を歩けば通りすがる人々に対して「皆には働く場所があるんだなぁ」と思いを馳せて泣きそうになっていた。

今思い返せば、居場所が見つからない不安から解放されたいという気持ちと、夢を叶えられるところで働きたいという気持ちがないまぜになって、自分で自分を追いつめてしまっていたように思う。

第1志望の会社に入社して、好きなことを仕事にできて、なおかつそれが楽しく充実してて…なんて理想、世の中でいったいどれくらいの人が手にしているのか。
…まぁたぶん、ほとんどいないんじゃないかな。


就活は本当に「運」と「一時の縁」だと思う。
ぶっちゃけ大概は、思うように事が進まない。
だから、どんなに就活が上手くいっていないとしても、自分のことを決して否定せず、「こうすれば良かったかな」という後悔がもしもあるなら、次にエントリーする企業ではぜひ活かしてみてほしい。

それぞれのペースがあるのだから、周りのことは気にせず、ゆっくり深呼吸しながら自分と向き合ってみよう。
貴方らしく働ける場所はきっと見つかるはず。
もちろん、すぐに見つかるとは限らないし、もしかしたらそれは新卒で入社する企業ではないのかもしれない。
なんなら働くうえでの「自分らしさ」ってものがわからないんだって思うかもしれないけど、それは実際に働いてみて初めてわかることだろうから、今はわからないままでいい。

ただ、これを読んでくれている貴方にとって「自分らしく働ける場所」の一つが、秋田書店だったらいいなと願っている。

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小坂 翼 2023年4月 入社
同年6月 プリンセス・ボニータ編集部 配属
大学入学当初は映画業界を目指していたが、大学3年の春頃、第1志望を出版社に変更。
誰かの「やりたいこと」や「なりたい自分」を見つける些細なきっかけとなるような物語作りに貢献したいという想いから、漫画の編集者を志す。